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「ふう」
久しぶりに飲み過ぎた。
腕時計を見ると、既に12時を回っていた。
ふっとマンションの8階を見上げる。
外から見ると自分の部屋がどれだか分かり辛い。
ほろ酔いでぼんやり眺めていると、人がベランダに出て、手すりに手をつきながら煙草を吸っている姿が目に入った。
「あ……」
802号室。
お隣さんだ。
よく見えはしないが、大体自分の部屋あたりだったので分かった。
……外から見たらこんなふうに見えるんだ。
ベランダに立つ姿。
私と時峰も……。
考えそうになって意識的にそれを中断した。
開きかけた記憶の蓋をまたしっかりと閉める。
「あー。
寒い寒い」
早く部屋に入ろう、と独り言を言いながらエントランスに入った。
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