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「……」
カツ……。
最初に動いたのは時峰。
一歩私の方へ寄る。
「センセ」
久しぶりの呼び方。
愛着ありげに呼ぶ、その優しい声のかけ方に一瞬地面が揺れる。
私は何が起こっているのか理解できず、放心状態。
「久しぶり。
いい加減、顔上げてよ」
「……」
頭に響く声。
懐かしい口調。
私は、言われるまま、ゆっくり顔を上げる。
よかった。
頬が濡れていないということは、私、涙は流していない。
高い位置に時峰の顔。
その顔は懐かしそうに私を見て微笑んでいる。
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