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少し痩せた。
そして、大人っぽくなった。
たかだか1年ほど会ってないだけで。
それでも変わらない得意気な笑顔。
時峰の……、笑顔。
……あ。
ヤバイ。
記憶の水が、ヒタ、とこちら側に向かってくる。
浸み出してくる。
ダメだ。
思い出すな。
あの感情を思い出したら、負けだ。
私はもう利用なんかされない。
もう、傷つかない。
時峰と関係があったのは過去。
時峰のことを好きだったのも過去だ。
振り向かない。
戻らない。
私は強い。
強い。
強いんだ……。
拳を強く握り、手の平に爪を立てる。
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