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「……」
いつもの帰路。
景色がビュンビュンと左右を過ぎていく。
自分のプライドのために。
引きずっていると思われないために。
今が充実しているとアピールするために。
大人だと思われるために。
……私、頑張った。
偉い。
私、……偉い。
「ひっ……、っう……」
いつの間にか、涙がボタボタ落ちていた。
「うっ、うぅ……」
今更、顔なんて見せないでよ。
ようやくかさぶたにまでなっていたのを、無理やり剥がしに来ないでよ。
そんな優しい声で私を呼ばないでよ。
「えっ、えっ……う……」
涙が邪魔で運転しづらい。
それでも、私は自分を褒めた。
よくやったって、褒めてあげながら帰った。
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