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マンションに着いた。
泣き過ぎて体力を使い、少しふらつきながら8階の通路を部屋まで歩く。
「――っ」
びっくりした。
今日は心臓に悪い日だ。
802号室の前に人影があり、私は先程の時峰の残像かと思った。
「こんばんは。
遅くまで御苦労さんです」
「……あ」
お隣さんだ。
こんな夜更けに外に出てるんだ。
「こんばんは……」
こんな時間に他人と会うなんて、いくら同じマンションの人とはいえ少し警戒してしまう。
私は小さく会釈をしながら、その人の横を通り自分の部屋に入ろうとした。
「泉さん、お疲れですか?
目が赤いですよ」
「はは……、ちょっと……」
ガチャ。
バタン。
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