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「隣に引っ越してきてから、ずっと、ずっと見守ってきたのに。 なんで分かってくれないんですか? あなたのことが心配なんです、僕」 男はヒゲをゾリゾリと私の首に押し当てながら抱き締める。 「ひっ!」 やだっ! 助けて! こういう時、ドラマとか映画ではすごく大きな声を出しているのを見る。 なのに、出ない。 驚きと恐怖で声を失ったのか、こんな肝心な場面で大声が出せない。 私はひたすら、片足をバタつかせた。 誰か。 誰か。 助けて。 助けてっっ!
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