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――ダメだ。
た、戦わなきゃダメだ。
涙が滲むが、必死にこらえる。
強いんだ。
私は強いっ!
ぐっともう一度傘を握る握力を強める。
腕を大きく振って、今度は男の頭、右耳からこめかみにかけて思いきり打ちつけた。
「うっ」
男がよろめく。
何か液体が顔に飛んできた。
男のツバなのか、血液なのか、そんなの今はどうでもいい。
「けっ、警察!
警察呼ぶからっ!」
自分でも驚くような声を上げて叫ぶ。
ガタガタ震えて握ることすらままならない携帯を男に見せる。
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