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何故、あの時すぐに引っ越さなかったのか。 何故、時峰を嫌でも思い出してしまうあの部屋を、あのマンションを出ていかなかったのか。 ……私は本当は分かっている。 面倒くさがりを理由にすり替えながらも分かっている。 ……私は、未だ、待っているのだ。 水曜日に、あの扉がノックされるのを。 時峰が鍋を残して出ていったあの日の私のままで。 来週想いを伝えようと覚悟を決めた私のままで。 「ひぃっ……。 あっ、あ、ううぅ……。 時、峰ぇ、時峰っ……。 うぐっ。 ううううううぅぅっ……」
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