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下を見下ろすと、男は既に意識を手放し、腹を押さえた状態でピクピクしていた。 「泉っ」 ふいに後ろから、男の声。 ゆっくり振り向き、気付いた。 あれは……。 先生の、……彼氏。 「……」 頭がぼおっとする。 息を切らしたその人は、俺と目が合い、一瞬、ここは頼む的な目をした。 瞬く間に俺の横を通り抜け、ためらいも無く部屋に入る先生のヒーロー。 ……ガチャン。 開けた勢いと対照的に、ゆっくりと扉が閉まる。 先生の引っこめた足だけが最後に目に入った。 ……血が、出てた。 「……」 倒れた男をチラリと見る。 コイツはもう、起き上がらねーだろ……。 カ、ツ……。 カツ……。 俺は、ゆっくり通路をエレベーターの方へ向かった。
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