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沈黙になりながらも、時峰は私の後をちょろちょろついて回る。
「俺が何言いたいか分かる?」
「分かるわよ。
“隣に越してくれば?”でしょ?」
「……」
時峰は金魚のフンをパタリとやめ、はーー、と大きなため息をわざとらしく吐いて、ソファにバフンと座った。
「さっき、俺が言ったこと聞いてたの?
センセ」
「えーー、何ーー?」
キッチンで皿を洗い出したので、時峰の声がよく聞こえない。
「ずっと、手が届く範囲に、センセを置いときたい、って言ったの、ちゃんと聞いてた?」
「ごめん、よく聞こえないやーー」
さっきより大きな声だったから、本当はちゃんと聞こえた。
このくらいのイジワルはいいだろう。
日頃、この男には振り回されっぱなしなんだから。
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