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「……泉」
「泉?」
「うん……。
綾川 泉」
「いい名前」
「……」
私を見て、ふわりと笑う時峰。
前髪が何束か落ちて、色っぽい。
「泉」
「うん」
「泉……」
シャッ、シャッ、と鉛筆を寝かして描く時峰が、繰り返し私の名を呼ぶ。
思いがけず涙が出そうになった。
好きな人に呼ばれると、私の名前はこんなに尊く聞こえるんだな……。
「センセー。
できた」
って、おい。
いきなり呼び方戻ってるし。
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