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「早いね。 描き慣れてるんだね、やっぱり」 「ん……。 まあ……」 そりゃあんだけ……、と小声で語尾を濁す時峰。 少し微妙な苦い笑顔。 ……? よく分からなかった。 時峰が見せてくれた私のデッサンは、とても繊細で、温かさを感じるデッサンだった。 私が笑っている顔。 作った笑顔じゃなくて、自然に笑っている顔。 特徴をとらえた、柔らかいタッチの絵。 「シワとか飛ばして、美人度2割増しで描いてあげたから」 「ちょっと!」 ハハッと笑う時峰。 あまりにも無邪気なその笑い顔に、つられてこっちも口元が緩んでしまった。
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