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数十年前
季節は少し肌寒さを感じさせる9月の半ば、街中はコートやマフラー等を身に付けてた人々が行き来していた。
そんな街の中を、コートを着て帽子を深く被った一人の男が居た、彼は街中を静かに歩いている。
途中に子供が数人男のと隣を楽しそうにしながら走り抜ける、男はふいに振り返り楽しそうにしている子供達を見ると、小さく微笑む。
「……ふっ、元気なモノだな」
そう言うと男はまた歩き出した。
暫く歩くと、男は建物と建物の間の人通りが無い小さな路地に入る、そして辺りを見回し誰も居ないのを確認すると帽子に手を掛け、帽子を外し小さく息を吐く。
「全く……こんな顔に産まれてしまった自分を憎むよ」
そう言い今まで帽子に隠されていたその顔が露になる、その剥き出された肌は真っ白で、血色が無く、目や鼻や口などは存在しておらず、額に『Hell』と言う赤色の文字のタトゥーがあり。
正に“人ならざる”存在であった。
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