ジレンマ

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その週末はまるで恒例のようになっていた、智也の店での飲み会にはとても行く気分になれず、俺は家に真っ直ぐ帰宅した。 日曜日に部屋の掃除を済ませ、たまには気分転換に自炊でもするか…とスーパーに買い物に出かける。 2年前、澪と別れてからここへ越して来て、たぶん3回目くらいに訪れたスーパーで今夜は魚で日本酒って感じかな…と思いながら鮮魚コーナーを物色していた時だった。 「あれ?部長?」 ふいに聞こえた声に振り向くと、相変わらず大きな壁…じゃなくて倉田の姿。 「ああ、倉田も買い物か?」 「はい。部長、何で週末は智也さんの店に来なかったんです?」 「んー…なんか疲れてたから。家に帰りたかっただけ」 サバの干物を手に取りながら言った俺に倉田がポツンと呟いた。 「そうですか…部長来なくて寂しかったですよ」 「…そりゃどーも」 そう言いながらも倉田の言葉に、ドキドキする俺。 目の前でニカっと笑うお前は気づいてねーだろけど。
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