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「今日は焼き魚で一杯ですか?」
「ああ、たまにはのんびりしてーからな」
ホントなんか疲れ切ってるし、俺。
そう思いながら歩き出した俺に倉田が笑みを向ける。
「部長、今日これからモツ煮作るんです。太田の件でお世話になったお礼もちゃんとしてないし…良かったらモツ煮食べに来ませんか?」
「何?モツ煮だと?」
「アハハ!食いついた」
豪快に笑う倉田に俺もアハハと笑ったけど、本当は家に誘ってくれた嬉しさを隠してた。
なんか…また倉田の料理で癒されたかったし。
「じゃ、このサバも一緒に焼いて用意しておきますね。
夕方になったら、いらして下さい」
レジの先で買い物袋に、俺の買ったサバの干物を自分の袋に詰め込みながら言った倉田に頷く。
「ああ、じゃ夕方行くよ」
スーパーの前で倉田と別れて、家に戻りながら俺の気持ちは浮かれていた。
澪の事なんてすっかり頭の中から消えてしまうほどに。
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