愛しのぽっちゃりさん 第5話

ジレンマ

「だけど、太田の件では本当に部長、ありがとうございました。
おかげで私も前向きに物事が考えられるようになりましたよ」

倉田の料理をすっかり堪能し、俺の持参した日本酒をまったりと二人で飲んでいると倉田が語り出す。

「…まぁ倉田が前向きになれたんなら良かったよ」

…本気で願って言ったあの時の言葉をただの演技としか受け止めてくれなかった倉田にマジで凹んだけどな…。

心でそう思いながら小さく笑う。

そんな俺の隣で倉田は再び語る。

「部長のおかげで…私、また恋してみよーかなって思えるようになりました。
まぁ、ダイエットしないと無理ですけどね！」

エヘヘと笑って舌を出す倉田がめちゃくちゃ可愛く見えて俺の鼓動が一気に激しくなって行く。

「お前はそのままでいーよ」

「えっ？」

「美味しいもの食って幸せーって顔してさ、酒飲んで豪快に笑ってるお前が一番お前らしいんじゃねーか？」

俺の言葉に、ほんのり顔を赤くしてモジモジし始めた倉田。