583人が本棚に入れています
本棚に追加
なんか居心地悪いーな…。
早く帰りてー…。
そう思いながらため息をついていると、ふいに俺の方に視線を向けた澪。
悪戯っぽく笑いながらグラスにビールをついでくれる。
「藤森部長、あまり進んでないみたいですね」
「ああ、ありがとう」
そっけなく言った俺に、澪は俺の顔を覗き込んで。
「藤森部長って何だか私に冷たくないですか?」
なんてわざとらしいセリフ。
「そんな事ねーと思うけど?岸本さん?」
社交辞令の笑顔で返してやると、澪は呆れたように笑った。
「でも倉田部長にはいい刺激もらってますよ。この会社に出向して来て良かったです。さすが藤森部長が抜擢しただけありますね」
「ああ、倉田の才能は俺もすげーと思ってるよ。アイツのデザインは今まで俺の見た中で一番かも」
「藤森部長は倉田部長に惚れこんでるんですね」
その言葉になんだか自分の気持ちを見透かされたような気がして危うくビールを吹き出しそうになった。
「デザインの話ですよ?」
クスクス笑う澪を思いっきり睨んでやる。
…やっぱ澪はあなどれない。
最初のコメントを投稿しよう!