ジレンマ

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「倉田、今日の出向デザイナーの面談はお前も立ち合え」 「はい、分かりました」 すっかり部長らしくなった倉田に俺も安心。 太田がいなくなってから、椎名もうまくコントロールしてくれてるし出向デザイナーともうまくやってくれるだろう。 「部長、社長室にデザイナーがお見えになったみたいです」 社長室からの電話を受けた柏木に声を掛けられ、俺と倉田は社長室へと向かう。 「どんなデザイナーさんが来るんでしょうね」 「んー、まぁBLUE STYLEも見栄があるだろうし、そこそこ実力あるデザイナーを送り込んで来るんじゃないか?」 「すごい楽しみです」 瞳をキラキラさせる倉田に思わず笑みが零れる。 しかし、どこまでこの女は鈍感なんだか。 全く俺の気持ちに気付く気配がない。 …ま…それはおいおいでいいか。 そんな事を思いながら、社長室のドアをノックした。
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