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呆然と立ち尽くしていた俺に澪が声を掛ける。
「隼人…追いかけないの…?」
「…追えるワケねーだろ…倉田は俺の女じゃねーし…」
「…そう…」
しばらくの沈黙のあと、俺は澪を見下ろして言った。
「で?何があった?
言って楽になるなら聞いてやってもいいぞ」
「本当にいいの?」
「だから何が?」
「倉田部長、あのままでいいの?」
「見てて分かったろ?
倉田は俺を拒絶したんだよ。
もういいから、行くぞ」
澪の腕を掴んで歩き出す。
そりゃ追いかけたいけどさ。
澪だってひとりで歩かせられねーほど、泣いてんじゃん。
そう思いながら俺は倉田が走って行ったのとは、反対方向へと足を進めた。
俺だって…どーしていいのか分かんねーよ…。
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