ジレンマ

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「それって北条さんは奥さんより澪を選んだって事だろ?」 「…うん…。たぶんそうなのかな?」 「だったら何で泣く必要があるんだよ?」 そんなにも悲しそうな顔をする意味が理解出来ず、俺は澪に疑問を問いかけた。 「だってまだ正式に離婚した訳じゃないし…。 それとね…彼は…まだ私に一度も言ってくれない言葉がある」 「は?」 大きくため息をついた澪が、俺をじっと見て瞳を揺らす。 「愛してるって…一度も言ってくれた事がないの」 そう言ってまた悲しそうにワイングラスをゆらゆらと揺らした。
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