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「入ってくれ」
いつも通りの社長の声が聞こえたドアを開けた瞬間。
俺の目に映ったその姿に危うく「うぉっ」と声を出しそうになった。
何故なら社長の向かいに座って微笑んでいたのは、2年前に別れたBLUE STYLEのデザイナー、岸本 澪だったからだ。
「BLUE STYLEから出向して頂く事になった、岸本 澪さんだ。
こちらは外注デザイン部長の藤森隼人くんと自社デザイン部長の倉田美穂さん。
3月までの契約だが…岸本さんはデザイン歴8年で実績もあるし、倉田さんも心強いと思うよ」
引きつったままの俺の横で、社長の言葉にニコニコ頷く倉田。
…冗談やめてくれよ、おい。
そんな俺の心の呟きに気づかない倉田は、にこやかに澪と挨拶を交わす。
「倉田美穂です。よろしくお願いします」
「こちらこそ。倉田部長、藤森部長、よろしくお願いします」
悪戯っぽく微笑み、とぼけながら挨拶する澪。
けれどとぼけるしかない現状。
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