ジレンマ

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扉が閉じて、ゆっくりと動き出した箱の中。 隣に立つ澪を見おろし口を開いた。 「どーいうつもりだよ。何で断らなかった?」 「あら?何で断る必要があるの?これは仕事でしょ?」 「普通、別れた男のいる会社に出向なんて受けねーだろ?」 「フフッ…隼人に会いたかったから…かな? っていうか、太田さん情報送ってあげたのにお礼もナシってどうよ?」 「ああ…あの時は助かったよ。ありがとう」 けれど、それとこれとは別問題。 「で?何でこの仕事受けたんだよ」 不愉快極まりない表情で、もう一度落とした言葉に澪はクスクスと笑い始めた。
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