ジレンマ

7/39
前へ
/39ページ
次へ
「だから、隼人にまた会いたかったの。 あの時は私も仕事が楽しかったし、隼人と別れてもいいやって思ったけど… 結局は隼人を忘れられなかったのかなぁー」 「俺はもうその気は、ねーよ」 「フフッ…好きな子でも出来た?」 笑いながら言う澪に俺は何も答えなかった。 「まぁ折角だから、3月まで楽しませてもらうね」 エレベーターの扉が開くと、澪はカツカツとヒールを鳴らしながら降りてゆっくりと振り返る。 「来週からよろしくね、藤森部長」 ニコリと微笑んで再び背を向け歩き出した澪を、俺はエレベーターから降りないまま見送った。 …どうやら冗談ではないらしい。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

583人が本棚に入れています
本棚に追加