すべてのはじまり

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帰宅して、赤いライトが点滅している携帯を開いた。 《新着メール受信5件》 《篠田恒優 subject:篠田です》 パチン! 一度携帯を閉じる。 パカッ そしてもう一度開く。 変わる訳もなく、そこには 《篠田恒優》 の名前があった。 ぎゅっと携帯を握りしめる。 顔が笑う。 恒優、届いたよ。 メールが、届いた。 それだけなのに私、こんなに嬉しいの。 私は馬鹿みたいに 携帯を開いたり 閉じたりしてみた。 信じられないくらいに嬉しくて、 少し涙まで浮かんだ。 ただの1通のメール。 それだけ。 ねぇ、恒。 このメールを書いてる時、 少しは私のこと思ってくれた? 読んでどんな反応するのかとか どんな返事を返してくるのかとか 考えた? 私は返事を書きながら たくさん恒のことを思うよ。 私のメールに笑ってくれたらいいなって、 少しでもいいから元気になってくれたら いいなって思うよ。 これを恋って呼ぶんだろうけど 恒はどう思う? これ、恋かな? どうしよっか。 …なんてね、どうもしない。 私は過去に恒の告白断ってるし。 なんで断っちゃったんだろうね。 今になって後悔させられちゃった。 悔しいよ、悔しい。
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