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和馬くんの反応をまっている私。
でも和馬くんは何も言わない。
進まない状況に終止符をうったのは私の隣にいる男だった。
「どうも、シンヤです。話は終わったようですね。いくぞナオ。」
そう言って彼…シンヤさんは私の腕をほどき、かわりに手をつながれた。
ただそれだけなのに心がほっとした。
私は手を引かれこの場所をあとにした。
大通りを進むワタシとシンヤさん。
今さらだけど凄いことをしたなっと自分でも感心する。
凄いことっていうのはあんなに嘘がぺらぺらでてきたことと、名前以外になにもしらない男に有無を言わせないうちに協力してもらったこと…とか。
そうだ、シンヤさん。
引っ張られている状況では後ろ姿しかわからないけれど、背は私より頭ひとつ分高くて、多分170cm後半から180cm前半ぐらいかな。
スーツの上からでもわかるその背中は無駄な脂肪はなくて、綺麗だなーと思いながらついていく。
でも、さすがにコンパスの長さが違うので、少し早めに歩いているであろうシンヤさんについていくには私は駆け足状態である、つまりすこし足がいたくなってきた。
「シンヤさん。」
あれ?聞こえてない?
反応がない…ってことは…
1.私の声が小さくて本当に聞こえてない。
2.今更ながらこの状況に戸惑い、今後どのように対応しようか考えている。(結論聞こえてない。)
3.どこかしら目的地があり、そこまでいこうとしているのでなにか言われても止まる必要なし、ゆえに無視!
まぁ、どれでも通じるようにとりあえずさっきよりも大きな声で「シンヤさん、もう少しゆっくり歩いてください。」と、そして引かれる手をぎゅっと握ってみる。
驚いた顔をして振り向かれたので、こっちも驚いてしまった。
「ああ、ごめんね。」
さっき聞いたよりも優しく低い声になぜか安心してしまった私はいつの間にか泣いていた。
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