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「子ども…」
「そういうことだから」
そういうことなんだ。
「そう…」とだけつぶやいて前に進んだ。
彼女の方向へ。
近づいてきた私を見て彼女はビクッと肩をゆらす。
彼も手を引き彼女をそばへと寄せる。
私は彼女の方向の奥にあるブランコに腰かけようとしただけなのに。
彼女の横を通ったのはそのため。
この二人は私が手をあげるとでも思ったのだろうか。
彼女にいたっては寸前でぎゅっと目を閉じて何かを覚悟していたようにみえた。
一発叩いてもいい立場だろう。
でも、それじゃあ私が悪者じゃない。
悪者扱いはいやよ。
深呼吸をして気持ちを立て直す。
子どもができちゃったならもうどうにでもならない。
ここで駄々をこねる女になんてなりたくない。
その小さなプライドでずたずたな心を支えた。
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