Chapter 1

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「手…動いた…。ナースコールを!」 母親に叫ぶ。 「香織!」 香織は、もう片方の腕も上げようとしていた。 あぁ!意識が戻って来たんだ! でも、その喜びは一抹になる。  「ポス…。」 力尽きた香織の腕は、布団の上に乾いた音をさせて…落ちた。 「えっ…香織…。」 嘘だろ…約束してくれたよね…。 一人にしないって…。 「香…織…香織ぃいい!」 「小田切さん!先生が来たから!」 バタバタとドクターとナースの足音が聞こえだが、俺は必死で彼女の名前を叫んだ。 「香織いぃぃっ!」 「今、看ますから離れて下さい!」 ベッドから離され、医師達の動きを震えながら見守った。 香織!香織! 心の中で、ひたすら名前を繰り返す。 そして数分後…香織は瞼を開き、意識を取り戻した…。
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