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翌日、晶子は朋美に一樹のメールのことを話した。朋美の推理が始まった。
「そのsinyanaiという人物とその仲間に澤本くんは脅迫されているのね。そして、何を澤本くんが要求されているのかを知るにはsinyanaiが何者かをまず突き止める必要があるということね」
「私もそこまでは分かるわ」
「まあ慌てないで、問題はここからよ。澤本くんは学校へ行かないということは、学校に行くと彼らに会うということよね。つまり、sinyanaiはこの学校にいるということなのよ」
「なるほど」
「まず、先生の中にはいないわね」
「どうしてわかるの?」
「それは、私が以前、学校のホームページで先生たちのことを調べたことがあったからよ」
「そうか。そうすると生徒ということになるわね。それも学校のホームページで調べられるの?」
「個人情報だから詳しくは公開されていないけれど、どの学年のどのクラスに誰がいるかくらいは分かるわよ」
晶子と朋美は学校のPC室に行った。そこにあるパソコンは学生たちが自由に使うことができた。そして、自分の学生番号と暗証番号を入れると学校のホームページにアクセスできた。朋美は馴れた手つきでキーボードをたたき、パソコン画面に学生名簿一覧を呼び出した。左上部にある四角の枠にyanaiと入力し画面の検索キーをクリックした。すると、一件該当したというメッセージの後に、柳井真吾、三年C組と出た。
「晶子、これよ」
「うん。わたし、どんなやつか見てくるわ」
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