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翌朝、登校した晶子はクラスにただならぬ雰囲気を感じ取った。生徒たちが何やらざわついていた。そこへ朋美がやってきた。
「晶子、事件よ!」
「事件?」
「そう、今朝裏庭のウサギ小屋とトリ小屋が何者かに爆破されてたのよ」
「ええっ。学校で爆発があったの?」
「そう、小規模な爆発だったようだけど、それでも、ウサギとにわとりは全滅してたそうよ」
「まあ、かわいそうに。いったい誰が…」
と言いかけて晶子は昨日の真吾たちのことを思い出した。
「どうしたの、何か心当たりがあるの?」
「まさか、あの人たちが…」
晶子は朋美に昨日の化学同好会の怪しげな実験作業について話した。朋美は驚いた。
「まさか、学校の部活時間に、爆弾を作ってるグループがいるというの?」
「確かめたわけじゃないけど、怪しいと思う。それに、その一人は私たちのクラスの村上直人よ。そして、一樹さんもその仲間だったらしいの」
朋美は直人に近づいた。直人はクラスの中ではオタクと見られていた。だから、女子から声をかけられることなど直人自身、想定外の出来事だった。
「何ですか、川木田さん。僕に用事って?」
「私、あなたが化学同好会に入ってるって、聞いたの」
「フーン。それで?」
「私も化学に興味があるの。だから、その同好会に入りたいと思ってるんだけど」
「僕らの同好会はメンバーの選定がうるさいんだ。そう簡単には入れないよ」
「同好会は部活ではないから学校の補助金とか出ないんでしょ?」
「うん。だから、俺たち会員の会費で賄ってるよ」
「でも、化学は実験が中心だと思うからお金がかかるでしょう」
「確かに、僕のお小遣いは全部同好会につぎ込んでるからな」
「会費はいくらなの?」
「月一万円だよ」
「私、二万円出すわ」
「えっつ。どうして?」
「だって、会員募集もないのに無理に入れてもらうし、私の同好会への貢献はいまのところお金ぐらいでしかできないからよ」
「分かった、リーダーと相談してみるよ」
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