第5話 ストーカー

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 真吾は一樹の抜けた分を予算面でどうやり繰りするか考えていた。そこへ、月二万円を出すというカモネギの女子生徒が登場したということで、朋美の同好会入会を許可した。しかし、朋美が信用できるかどうかまだ分からないので彼らの『計画』については朋美の前では話さないという了解を直人と健太から取り付けた。  翌日、朋美は化学同好会のメンバーとして迎えられ、地階の化学実験室で臨時会合が催された。 「私、二年B組の川木田朋美です。化学にすごく興味があるので入会できてとてもうれしいです」 「我々の会は、高校レベルの化学実験に飽き足らない同志の集まりです。川木田さんの入会を歓迎します」  慎吾の挨拶の後、健太と直人の自己紹介があった。 「メンバーはもう一人二年A組の澤本一樹くんがいますが、いまは休会届けが出ています」 「リーダー、澤本さんはどうして休会してるんですか?」  朋美の質問に真吾は一瞬引いたが、すぐに平静を取り戻し、『体調を崩しているそうだ』と答えた。  朋美は晶子に自分が化学同好会のメンバーになったことを話した。晶子は朋美の行動力に驚かされたが、危険を顧みない朋美には「慎重に振舞って」と言うしかなかった。しかし、晶子の不安は現実のものとなった。翌日、朋美が行方不明になってしまったからだ。
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