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ドドーン
『うぁ~……』
「近いよ!! リューク」
爆心地と思われる方へ視線を動かしながら、ライフルを構えた栗色の髪の小柄な少女が言葉を投げる。
「そのようだな、もうじきここにも来るぞ、覚悟を決めろよ。ミル」
リュークと呼ばれた青年は、均整のとれた顔立ちに青い瞳、青い髪を持つ。ミルと言う少女より幾分落ち着きを保っている
☆☆☆☆☆
ここは第三惑星シュール、戦乱のまっただ中である。
人類が創り上げた究極の最終兵器とも言える兵器、「ウィグ」。
この兵器は、生物の構造を解明し新たに「ゼロ」から創られた生命体である。
彼らはわずか30年ほどで人類のなしえた進化を駆け抜けた、人間外の知的生命体である。
しかし人類は彼らを扱う術を知らなかった。
この生物の生みの親、ウィグ・ルー・マート博士は実験中にこの生物の手にかかって、この世を去った。
いつしか人々はこの忌まわしき生物を、「ウィグ」と呼ぶようになったのである。
さらに10年の歳月が流れた頃、もはや彼らは人類の天敵と呼ぶべき存在になっていたのである。
もちろん人類も手をこまねいていたわけではなかった。
B・C【バスター・コード】(人型重戦機:全高18m前後。操縦者1~2名。希少)やH・W【ホバー・ウェイ】(ホバーリングで移動する乗り物の総称。人間用からB・C用まで様々)の実用化に成功していたのである。
☆☆☆☆☆
「来たぞ! ミル」
リュークが小声で怒鳴る。
「ドジるなよ!! リューク!!」
高鳴る胸と、震える声で栗色の瞳、ミルが返す。
「お前こそ」
言うが早いか、リュークが岩陰から飛び出した。
呼応するようにミルも飛び出し、銃を乱射する。
ドドドドドドド……ガガガガガガガガガ……
眼前で肉片となっていくウィグ。
しかし、ミルの心はこの現実の緊張感とは裏腹に、まるでテレビを見るような感覚におそわれていた。
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