第1話 ~恐るべき兵器~

2/39
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
ドドーン 『うぁ~……』 「近いよ!! リューク」  爆心地と思われる方へ視線を動かしながら、ライフルを構えた栗色の髪の小柄な少女が言葉を投げる。 「そのようだな、もうじきここにも来るぞ、覚悟を決めろよ。ミル」  リュークと呼ばれた青年は、均整のとれた顔立ちに青い瞳、青い髪を持つ。ミルと言う少女より幾分落ち着きを保っている ☆☆☆☆☆  ここは第三惑星シュール、戦乱のまっただ中である。  人類が創り上げた究極の最終兵器とも言える兵器、「ウィグ」。  この兵器は、生物の構造を解明し新たに「ゼロ」から創られた生命体である。  彼らはわずか30年ほどで人類のなしえた進化を駆け抜けた、人間外の知的生命体である。  しかし人類は彼らを扱う術を知らなかった。  この生物の生みの親、ウィグ・ルー・マート博士は実験中にこの生物の手にかかって、この世を去った。  いつしか人々はこの忌まわしき生物を、「ウィグ」と呼ぶようになったのである。  さらに10年の歳月が流れた頃、もはや彼らは人類の天敵と呼ぶべき存在になっていたのである。  もちろん人類も手をこまねいていたわけではなかった。  B・C【バスター・コード】(人型重戦機:全高18m前後。操縦者1~2名。希少)やH・W【ホバー・ウェイ】(ホバーリングで移動する乗り物の総称。人間用からB・C用まで様々)の実用化に成功していたのである。 ☆☆☆☆☆  「来たぞ! ミル」  リュークが小声で怒鳴る。 「ドジるなよ!! リューク!!」  高鳴る胸と、震える声で栗色の瞳、ミルが返す。 「お前こそ」  言うが早いか、リュークが岩陰から飛び出した。  呼応するようにミルも飛び出し、銃を乱射する。 ドドドドドドド……ガガガガガガガガガ……  眼前で肉片となっていくウィグ。  しかし、ミルの心はこの現実の緊張感とは裏腹に、まるでテレビを見るような感覚におそわれていた。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!