第1話 ~恐るべき兵器~

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     目の前に広がる風景を見たくないと思いながら、ただただ見入っている不思議な感覚……。 「ミル、逃げるぞ! そろそろ打ち止めだ!!」  リュークの怒声で我に返った。 「あ、うん。わかった!!」  乱射をやめて、手榴弾のピンを抜く。 『追ってこないでね』  心の中で、そう叫びながらウィグに向かって投げ込んだ。 ドゥッ  激しい爆音と土煙が、辺りの空間を包み込む。 「来い! ミル」  相手がひるんだ隙をついて、リュークがH・W(ホバー・ウェイ)に乗り込んでいた。 「わ、わかった」  すでに、始動を始めているH・Wにミルが飛び乗る。  乗り込むや否や、二人を乗せたH・Wは一気に加速、この場を後にした。 『一体、いつまでこんなことを続ければ良いのかな……』  めまぐるしく移り変わる景色を眺めながら、ミルの心はそんな不安で満たされていた。 ☆☆☆☆☆ 「よ~、お二人さん。遅かったのぉ」  アジトの格納庫で、恰幅の良い白髪混じりの男が出迎えてくれた。 「なによ、好きで遅くなったわけじゃないよ。ヴォル」  ミルは、ちょっとふてくされて見せる。 「ハハハ、そうとんがるな。 リューク、ミル良いものが手に入ったんじゃよ」  豪快に笑いながらヴォルは言う。 「良いもの?」  ヴォルのその態度に、不機嫌さを表しながらもついつい興味を刺激されるミル。 「ハハハ、こいつさ」  そう言いながらヴォルは親指で、格納庫の隅を指さした。  ミルもリュークもその先を見る。 「あっ」 「こ、こいつは……」  二人の口から、思わず声が漏れる。 「ね、ね、ね、ヴォル。これって、これって、もしかして……」  感激のあまり、声がうわずっているミル。  言葉にならないミルの気持ちを察して、ヴォルがうなずいてみせる。 「あの、ほら、アレ、アレだってばぁ。ねぇ、ねぇ、リューク」 リュークの腕をつかんで飛び跳ねる様は、見ていても微笑ましい限りである。
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