プロローグ

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遠くで電話が鳴っている.....。 寝汗でベトベトした小さな体を、モゾモゾと動かす。 電話に出なくちゃ......。 そう思うのだが、まだ完全に目覚めていない体は、意志とは関係無く、また夢の中へと落ちてゆく。 ガシャーーン!!! どれくらいたったのだろう。 今度は何かが割れるような大きな音がして、跳ねるように飛び起きた。 暗闇の中隣を見ると、そこに寝ていたはずの母の姿がない。 「おかぁ...さん?」 瞼をこすりながら、寝ぼけた頭で寝室の扉を開ける。 見慣れた長く続く廊下は、いつもと違う風景だった。 窓ガラスが割れ、床はガラスの破片が飛び散り、吹き込んでくる風と雨でビショビショになっていた。 そこでやっと頭が回転を始める。 そうだ、台風がきてるんだ.....。
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