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「おや、天狗と誰かがいると思ったら…懐かしい人物と出会うもんだねぇ」
奥から出てきたのは注連縄を背負った女性だった。
「っ!?…貴女とも…会ったような…」
ざらついた痛みと共に記憶の断片を手繰り寄せる。
「あぁ…会った事はあるよ、一度だけね」
「神奈子様!?」
「早苗もだよ、何せ十数年前だからね…覚えてないのも仕方ないけどねぇ」
神奈子様と呼ばれた女性はそう言う。
「そうだったんですか、う~ん…思い出せません」
早苗さんは悩んだ末、そう言った。
「そう…ですよね…」
「とりあえず、取材がしたいのですが」
重い空気になりかけていた所を文がそう言って話を変えたため、神奈子さんが直ぐ様その話に乗っかった。
「そうだね…とりあえず上がりなさい」
「分かりました」
とりあえず…文の取材を始める事になった。
「以上だね…」
文の取材は他愛もない世間話に近かった。
最近の様子とか、信仰の事とか色々だ。
「ありがとうございました、それで…蓮さんと神奈子様達の関係は…どんなもので?」
文が僕の思いを代弁してくれたように感じた。
「そうさねぇ…まだ私達が現実世界にいた頃、森に迷い込んだ蓮を助けたことがあったのさ」
そこは覚えてる…だが、助けられたと覚えてるだけで後は目の前の早苗さんに似た少女の事しか覚えていない。
「ただそれだけさ…何の因果か、再び出会ったんだけどね」
「蓮さんは記憶にあった少女を探してたみたいですけどね」
「それが私だった…と…」
「まるで奇跡的な再会じゃないかぃ」
神奈子さんがカラカラと笑いながらそう言っていた。
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