召喚計画

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「この計画の責任は全て俺が取る。お前らを生存させた上でこの戦いを終わらせる」  浅間さんはそう言って私達に向かい直る。そんなことを言わずとも私には鬼狩しかないのだから、彼に従うしかない。この終わりのない戦いを生きて帰って来られたなら、死んでいった彼らに、彼に恥じない働きができたと言えるだろうか。また変なことを考えている。生きなきゃいけないんだ、生きなきゃいけない。私は何があっても仲間と共に生きなきゃいけない。 「じゃあ、次は僕ですね! 浅間さん!」 「いちいち声がでけえんだよお前は。……こういうところはまだまだガキだな」  上野くんが手を上げて前に出ると、浅間さんは左手で耳を塞ぎながら悪態をつく。 「だって異世界の存在と邂逅できるチャンスなんて滅多にないじゃないですか!」 「おーそうだなそうだな、早くしろよ」  若干投げやりになりつつ媒体である布――御伽噺に出てくるような海賊旗を投げ渡した浅間さんに、上野くんは「ちゃんと聞いてくださいよ僕の想いを!」と憤慨しながらも魔法陣に手をかざした。  上野くんは私達の中でも魔力がずば抜けて高い方だ。調子のいい時は時々魔力検査の人間を困らせているほど。もっとも機器も古いらしいので最近浅間さんが新しい魔力測定機器を開発しているらしいが。  本当にこの鬼狩の開発部は浅間さんだのみだ。彼がいなくなったらどうするつもりなのだろうか。
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