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金色の光が研究室を包む。眩しいのは苦手だ。すぐに目を開けていられなくなり、目を守るように手で遮断した。ゆっくり手を下ろし目を開けると、その光の中に銀色が見えた。
そこにいたのは雪のような白い髪に白銀の長い髪を持つ女性。しばらく呆然として、状況が飲み込めないかのように研究室内を一瞥する。
「初めまして異世界人さん! 僕は上野 和人。貴方を召喚した人間です!」
目の前の上野くんがそう言ったものだから、女性は驚いたように彼を見据え「ショーカン……?」と妙なイントネーションで反芻した。
「本当に見境なく呼んでるのね」
女性を見定めるようにカルティエさんが赤い瞳を向け、小さく息を吐いた。そのため息は半分は呆れ、もう半分は苛立ちだろう。
「ちょっと待て! オレは今船に乗ろうと――つーかここドコだよ!? ……いきなり眩しくなったかと思えば――もしかして夢か?」
彼女は一人頭を抱え思考を整理しようとしているらしいが、どうやらあまりの出来事に全く思考が追いついていないらしい。しまいにはうーんうーんと唸り始める。私は助け舟を出そうか迷ったが、ここで彼女に私が言えることは何もないし、ここは上野くんと浅間さんに任せようと口を噤んだ。
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