召喚計画

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「え? 秋山さん戦闘班志望だったのか?」  真っ先にそれに反応した吉川に「何年前の話をしてる!」と秋山さんがいつもの口調を忘れて浅間さんに向かい怒鳴る。とは言っても彼はこっちが素なのだけれど。 「十年くらい前だな。聞いた話だと研究なんてうんざりなんだろ? けけけ」  多分今まで散々愚痴っていたのであろう言葉を返され、秋山さんはブツブツと何かを言っていたが、「いつも通り……どうせ俺には決定権ないんでしょう」と頭を押さえて恨みのこもった緑色の瞳を浅間さんに向けた。 「ただ俺……魔力ありませんよ。足手まといまっしぐらなんですけど……」  秋山さんの言葉にかすかにゴスティードさんが反応したような気がする。この小さな反応の理由は後々分かるのだが。 「動けて考えることができるなら役に立つ、問題ない」  浅間さんはそう言ってから、「16班用に基地内のC宿舎を開けてある。今日は寮で休んでもらって構わない。明日からは垣内に従って動くように」と私達に向き直る。  立ち上がるとふらつく私の体を秋山さんが支えてくれ、やがてそれが空音さんに変わったところで朦朧とした私の意識はまるで電源が切れるようにプツリと焼き切れた。
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