召喚計画

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◆ 「団長!?」  すぐさま意識を失った団長を支えたけれど、そのままぐったりとして目覚める様子はない。小さく息をしていることは辛うじてわかるが。 「多分体内の魔力の欠乏……必要以上にあの魔法陣に魔力を放出してしまったのね。……彼女は元々魔力が少ないの?」  魔力検査の結果は和人くんくらいしか知らない、と思いながら知ってるであろう秋山さんに目線を送る。 「ああ、そうだ。16班の中では早坂が一番――じゃなかった、魔力のない俺の次に少ない。とりあえず俺が医療班に運ぶから――」 「俺が運ぶよ。カルティエさん、いろいろ聞きたいことがあるから着いて来てくれないか?」  そう秋山さんの言葉を遮って団長を軽々と背負ったのは燕くんだった。カルティエさんは小さく頷いて燕くんの後ろについていく。 「じゃあ、僕らは先に宿舎に戻ってましょうか。ゴスティードさん、行きますよ! あ! 秋山先輩機材の修理お願いしますね!」  和人くんの笑顔に秋山さんは一瞬顔色を青くしたけれどしばらくして諦めたように「あーうんOKOK」と項垂れる。 「ねえ、あの車椅子の人ずっとあそこにいるけど放っといていいの?」  善人くんの声に振り返ると確かに垣内さんが召喚魔法陣の前で何かを見つめていたようだった。確か魔法陣の上にはまだ媒介の刀があったはず。あれは彼のものだったはずだ。 「あの、垣内指揮官」  声を掛けるとハッと我に返ったようにこちらを振り向く。 「すまない、ぼーっとしていた。この刀を媒介に悪鬼が現れたということは――それらに所縁があるものなのかもしれない、と考えてしまってな」  その蒼い綺麗な刀身とは裏腹に曰く付きの妖刀なのかな。垣内さんは車椅子から立ち上がり、杖で体を支えながら魔法陣上の刀を手に取った。  その間、善人くんはじっと団長が起動させた魔法陣を見つめていた。こういうのに詳しいのだろうか。和人くんといい今の若い人には魔術が流行っているのだろうか。 「いつまで残ってんだ大蔵 空音。垣内も早いとこ医務室戻れ。片付けの邪魔だ」  浅間さんにそう急かされ、押し出されるように第三研究室を出る。邪魔なのはわかるけれど毎回私のことをフルネームで呼ぶのをやめて欲しい。
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