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宿舎を目指しながら歩く私と善人君、そして少し先を歩く和人君とゴスティードさん。長い沈黙を切ったのは善人君だった。
「ねえ、あの魔法陣――四つ全部形が違うの?」
四つの台座に置かれた召喚魔法陣のことを言っているのだろうか。それを聞いた和人君の足がピタッと止まる。
「多分召喚の魔法陣自体は一緒だと思いますが……何か気になることが?」
善人君は少しだけ考えるような素振りを見せた後に「まあいろいろとね。最後の魔法陣の中心の紋様が俺が召喚された時のと違ってたから、魔法陣自体に何か細工があったんじゃないかって」と言って、少し黙った後「まあ素人が口出すことではないかもしれないけどね?」と笑みを見せた。
「いえ、教えてくれてありがとうございます。……中心ですね。まあ実際に見てみないことには――」
「今研究室に入ったら怒られると思うけど……」
私がそう言うと和人君は「でも魔法陣もすぐ片付けられちゃいますよね……せめてもう一人団長の魔法陣を確認した人がいれば……」と小さく歯噛みする。
「そういやよ、団長って奴はなんで団長って呼ばれてんだ?」
ゴスティードさんの問いに、上野くんは「あ、それはあだ名みたいなもので……なんで団長なんでしたっけ?」と私に話を振る。私も私で「確か団長が会った時にそう呼んでくれって言ってたから……」というように深く考えてはいなかった。彼女の本名は知っているが、それはあの浅霧さんが大声で彼女の名前を呼んだ瞬間にいたからで――。
「多分団長は自分の名前が嫌いなんだと思います。確か普通の名前だった気がしますけど」
「私もそう思う……けど」
もしかしたら私は団長のことを何も知らないんじゃないか。そんな気持ちが芽生える。
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