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「美穂、槙田の事…本当に大丈夫だったのか?」
俺の問いかけに倉田はいつもの笑顔で頷く。
「大丈夫ですよ。槙田さんは分かってくれてます」
「…だったらいいけど…もし何かあったらすぐに俺に言えよ?」
歩きながら倉田を覗き込むと、かすかに瞳が揺れた気がした。
けれど彼女はそれを誤魔化すかのように話を逸らす。
「あっ、今夜は私、自分の家に帰りますよ」
「はぁ?」
倉田の言葉に不機嫌そうに返事を返してやる。
「…ううー…」
「ハハハ、冗談だよ、お前も今日は疲れたろ?
家に帰ってゆっくり寝ろ。
週末までは俺も我慢するから。
…その代わり週末はずっと一緒にいような」
微笑んで言う俺の言葉に倉田の顔がぱぁっと明るくなって。
「週末、楽しみにしてます」
返って来た言葉に俺も笑みを浮かべて彼女の手を握りしめた。
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