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疑問に思って柏木にコッソリ聞いてみたけど、柏木も何も聞いてないらしい。
あれから槙田とは、一度も喋っていない。
朝のエレベーター前での遭遇も全くなかったから。
だけど今日は今年の冬の新作商品の展示会。
展示会には、忙しくて都合が付かなかった社長の代理で俺と、
新作担当の槙田が行く事になった。
「じゃ展示会行って来るから、倉田、あと頼んだぞ」
倉田の不安そうな顔が俺を見上げる。
余計な心配しなくていーのに。
そう思いつつ。
「終わったら、お前の家に行くから晩飯作っておいて」
彼女の耳元でコソッと囁いたら、顔を真っ赤にして嬉しそうに頷いた。
総務で営業車の鍵を借りてから、入庫管理部に槙田を呼びに行く。
「槙田、展示会行くぞ」
「はい」
デスクから顔を上げて小走りに管理部から出て来た槙田と一緒にエレベーターに乗る。
なんだか話しにくくてお互い沈黙したまま、駐車場の営業車に乗り込んだ。
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