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気がつくと、そこはどこかの廃工場だった。
うつ伏せに倒れていた私は、実感として伝わるその床の冷たさを体から押し退けるように、肘を立て、体を起こす。
そのまま正座する形となった私は、ゆっくりと首から上を働かせ、辺りの光景をなぞるように見渡してみる。
「やっと起きたか。あんたで最後だぞ」
不意に、私の後ろから男の人の声が聞こえたので、即座にそちらを振り返ると同時に“反射的にポケットにある銃を取り出そうと”その手を動かした――。
「……ッ!?」
ここでとてつもない自制心が働く。ポケットに伸ばされたその手を、なんとかギリギリで止めたのだ。
「……ん?」
その様子を、相手の男は怪訝な表情を浮かべつつ見据えていたが、私がそのまま何もしない様子を確かめると、腕を組みながら無愛想な面持ちで、私から興味を無くしたように目を背けた。
私は今、何をしようと……?
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