擬人化された十二人

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「おい!」 いきなり声を上げたのは、先ほど私に声をかけた黒髪の青年。……二〇歳くらいかな。 その場にいる全員の視線が青年に集まる。声を返された少女は、その青年を空中からただ無言で見下ろしていたが、傾がれたその首と不適な笑みが「なんだい?」と青年の質問を求めているように見えた。 空中に浮かぶ少女を見上げながら、その青年は再び口を開く。 「……この闘いは、いったいいつまで続くんだ? あと、その間の飯とか宿はどうすんだよ。 仮にも、俺たちは今は人間の体なんだ。もちろん人間並みに腹は減るだろうし、人間並みに眠くなるだろう。それに、体をゆっくり休ませる場だって必要なはずだ。その辺の配慮は無いのか?」 ……張り上げられた声とは裏腹に、意外に穏やかな質問内容だった。……まぁ、確かにそれも疑問ではあるけど……。
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