ライバル出現

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あの男がすんなり倉田を返す事はないだろうと思ってた。 だけど、俺の思った通りの展開にイラっとする。 『俺も仕事が詰まってるから、もう少し残業して帰る。 気をつけて帰って来いよ』 そう返信して、俺は再び画面に視線を落とす。 周防に対して不安がない訳じゃない。 だけどイブの約束を守るためには、今日明日で根詰めて仕上げないと厳しい。 必死に集中して仕事をこなしてたら、気づいた時はもう午後9時を回っていた。 久々に仕事を家に持ち帰る事にして、パソコンの電源を落としデザイン室を出る。 もう彼女は家に帰っているだろうか? ようやくエレベーターのドアが開くと、社長が乗っていた。 「おや?藤森くん今日は随分遅くまで残業だね」 「社長もお疲れ様です。納期の忙しい案件が詰まってまして…」 「そうか。年末まで大変だろうけど頼むよ」 微笑んで言ってくれた社長に一応聞いてみる。 「社長…A+LIVEの周防という男をご存じですか?」 「…ああ、知っているよ。若いけどなかなかのやり手だ」 「今回、新規オープンの店舗を依頼されて請けたんですが… 社長の紹介か何かですか?」 その質問に社長はじっと俺を見つめた。
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