ライバル出現

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「…今までそういう事例もありませんし… それに自社デザイン部は自社分の作成で手一杯ですので… 申し訳ありませんが、外注部のスタッフが作成を担当させて頂いております」 丁寧に断ったつもりだった。 確かに自社のページを見て、こういうイメージで作って欲しいなんて言うクライアントはいたけど、このページを作った人になんてデザイナー指名の依頼は一度もなかったし。 「…それは残念です…」 そう言って周防は目を伏せる。 しばしの沈黙の後、彼はパチっと目を開けると、とんでもない言葉を吐き出した。 「では倉田さんに作成して頂けないなら…このお話はなかった事にしたいと思います」 「えっ?」 「その方向で、もう一度ご検討をよろしくお願い致します」 驚く俺に、フフッと不敵に笑って周防は立ち上がると、軽く会釈をしてミーティングルームを出て行った。 …なんだアイツ…?
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