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考えたって答えはすぐに出ないけど、聞こうという気持ちにならないのは自分でも不思議だった。
ゆっくりと、くすぐったくなるような触れ方でタマさんがその子、みぃちゃんの頬を撫でてから耳へとその指を伸ばす。もったいぶった様子で髪を耳にかけた。
「それじゃあ、最後の質問だ。」
「なぁに?」
「これからどうしたいんだい?」
その言葉にみぃちゃんは素直に首をかしげた。
このぐらいの年だとまだ自分で何をしようとか意識的に考えることは少ないんじゃないだろうか?自分の意思のみで外の世界へ冒険に出るよりも、両親に手を引かれ、安全な枠の中で過ごすことのほうが圧倒的に多いはずだ。
そう考えるとタマさんの問いはとんでもなく難しいもののように思えた。
「よくわかんない…。」
「ふむ、それじゃあ答えが出るまで家においで。」
そう言うとタマさんは立ち上がり、みぃちゃんの手を引いて歩き出す。ゆっくりと、気遣うような早さだ。
それを見て僕も慌てて後を追う。挟むようにして隣に並べば、どこか嬉しそうにぴょんぴょんと弾むボールのように飛び跳ねた。
きっと、こうやって両親と並んで歩いたことがあるんだと思う。
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