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「見てみて!ふわふあっ!」
自然と上がる心拍数を誤魔化すように顔を背けていれば、そこへ興奮した様子のみぃちゃんが飛んできた。
舌が絡まったのかちゃんとした言葉になってはいないけれど、言いたいことはわかった。
「ほんとだ、ふわふわだ…。」
見せびらかすようにして目の前に差し出されたのは綿毛に姿を変えてしまったたんぽぽの花だ。
崩れてしまわないように指の腹でそっと撫でればサワサワとくすぐったい。それに思わず口元を綻ばせれば、嬉しそうにみぃちゃんもまた笑った。
「ね、ふわふあ!」
「うん、ふわふわだね。」
「やれやれ…。ふわふわなのはいいけれど、間違っても吹いたりするんじゃないよ?」
向き合ってそう笑っていれば、呆れたようなタマさんの声がした。
茶杯の縁に付けていた唇を離し、一息つくとこちらを見て喉の奥を鳴らした。
「なんでー?」
「なんでダメなんですか?これは吹くのが楽しいのに…。」
ふーっと息を吹きかけられて舞い上がる綿毛の大群を思い出して僕も口を尖らせた。
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