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タマさんはタマさんで何も言うつもりがないらしく「ふむ。」と一言言ってからまた茶杯に手を伸ばしていた。
「あのね、みぃちゃん。別にケンカしてたわけじゃ…。」
「ケンカ…、ヤなの……。」
タマさんからのフォローは期待できそうにないと気がついた僕は、そう言ってみぃちゃんに向き直るも、どうやら状況は改善するどころか悪化している。
ついにはいっそう眉がくしゃりと歪み、目にはうっすらと涙が浮かんでしまう。みぃちゃんはその涙を落としてしまわないよう目元に力を入れている。
「壱。」
「え、あ、はい?」
「言い争いをしていれば、話の内容がなんであれ幼子は喧嘩だと思い込むもんさ。」
そう言われればそうなのかもしれない。まだ幼いみぃちゃんにとって、大声というのはそれだけでケンカをしているように見えるかもしれない。
「…。」
タマさんの言葉で先程まで心の中にあったモヤモヤとした感情はどこかへ行ってしまった。
そのかわりにあるのはみぃちゃんを不安にさせてしまった罪悪感に、しょんぼりとしぼんでしまった心だ。
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