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不思議に思って外へと目を向ければ、霧のような雨が降り注いでいた。細長い一つひとつの雨粒に太陽の光が反射し、それが光って少しばかり眩しい。
雨粒が瓦に当たって弾け、木の葉に当たってはまた弾ける。
その度に様々な音がするものだから、まるで自然の演奏会が始まったみたいだ。
「おや…、狐の嫁入りだねぇ。」
「…え?」
「日照り雨っていうのかい?晴れていながら雨が降っている今の状態のことさ。」
タマさんによると狐の嫁入り、日照り雨の他には天気雨なんて呼ぶこともあるらしい。
由来もいくつかあるらしいが、一番は日が照っているのに雨が降るなんて信じられない状況が狐に化かされているのではないかと感じたから、だそうだ。
確かに昔の人は、狐にはそういった不思議な力があると考えていたみたいだ。神社に狛犬の代わりとして狐の像が置いてあったりすることも関係があるのかもしれない。
「それにしたって狐の嫁入りとは…。なにかありそうな予感がするねぇ。」
ふぅ、と小さく息を吐いてそういったタマさんはそのまま奥の部屋へと消えた。
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