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それを見送った僕は、縁側にある柱へと背中を沈めた。
柱の角に骨があたって、少し痛い。
雲の隙間から落ちてくる陽の光をなんとなく目で追って、眩しさに目を細めればうっすらと出来上がった虹が見える。
虹の色は7色と言われているけれど、僕には赤、黄、青の3色。それに加えてギリギリオレンジと緑、紫の合計6色しか見えない。だから本当に7色あるのだろうか?と疑ってしまう。
「おや、虹が出たねぇ。」
目を細めてそう言ったタマさんは、僕の隣に膝をついて急須から肌色の茶杯へとお茶を注ぐ。
こぽこぽと可愛らしい音とともにふわりと立ち上がった湯気を目で追うも、すぐにそれは隠れてしまった。
「ほら、壱のだよ。」
「いただきます。」
差し出された茶杯を受け取ると、手のひらへゆっくり熱が伝わってくる。じんわりとしたその熱は、なんだかとっても安心するから不思議だ。
薄緑の水面がふわりと揺れた。
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